<   2006年 10月 ( 4 )   > この月の画像一覧

月下美人

d0093704_8451489.jpg


耳を澄ますと先程から夜更けの雨音が引っ切り無しに聞こえてくる。時々強く、激しくそして時折、静かに、こんな雨音にもリズムがあるようだ。

もの憂く響くクラリネットの音色・・・冒頭の第一楽章の主題が奏でる。

時計の針は深夜0時40分を指している。

やがてクラリネットから弦楽器に移って悲しげな綾を絡ませた幻想的な旋律が流れる。・・・言わずと知れたチャイコスキーの交響曲第5番の導入部だ。

冒頭の主題は各楽章にかたちを変えて現われ、特にフィナーレの第4楽章にいたっては今迄の宗教的な暗い影は取り払われて最高潮の中に終了する。

これほどまでに悲しく美しいチャイコスキーの旋律に合わせ、今宵は月下美人の開花の瞬間だ。夏の夜の幻想花といわれる月下美人も我が家では遅咲き現象である。

今宵は夜の更け往くまま、名曲に酔いしれ、そして名花に酔いしれる。
[PR]
by sazae322te | 2006-10-25 08:45 | 芸術の秋

グアムの写真 T.Asaka

グアムの写真です。もう8年も前?(職場の女性の結婚式に出席した時のものです)
使用したカメラはキャノンAE1でマニュアル撮影。
d0093704_11574934.jpg



d0093704_115947.jpg



d0093704_11592164.jpg



d0093704_1159329.jpg



d0093704_11594233.jpg

[PR]
by sazae322te | 2006-10-20 12:00 | photo

ママのボランティア活動



d0093704_15172044.jpg



二階の二部屋にまたがって、本棚にぎっしりと本が並んでいる。というより積まれているといった方が適切な表現かもしれない。なぜならば整理の下手な私だから・・・ママが亡くなって早この11月で5年にもなるが、殆んどの本はそのときの状態そのままだし、その後は私が買った本が無造作に積まれている。

よく見ると中にはいらない本もたくさんあるようだが、思い切って捨てられないのが私の性格だ。いや、これは欠点といったほうが良いだろう。



長年住んでいた経堂の家を後にしたとき、亡くなった父の俳句や短歌や書に関するもの、それから私自身の囲碁、将棋の本など、かなり多くの本を手放してきた筈だが、その後いつのまにかこんなに増えている。・・・ただ父が大事にしていた「伊藤左千夫」や「斉藤茂吉」の昔の立派な本まで捨ててしまったことには今となっては残念な思いだ。



少しでも整理でもしてみようかな・・・と思い二階に上がり本棚に目を向ける。ママの読んだ本だけは整然として並んでいる。

一人の作家で何冊もある主な作家を列記してみると池波正太郎、藤沢周平、宮本輝、立原正秋、平岩弓枝、三島由紀夫、司馬遼太郎、長谷川町子など、そして、「理由」この本は直木賞受賞の宮部みゆきの作品。また本人が好きだった山本周五郎は何冊かあったはずだが本棚には見当たらない。私はこの中の本は半分も読んでいないだろう。



昭和60年前後何年間か、ママは月2回千葉市のある老人ホームにボランティァ活動の一環として朗読のために通っていた。

朗読日の前日、前々日になると、午後のひととき、夕食後の時間に、夏はベランダで、冬はコタツに入りながら朗読の予習をしていた。

「パパ!少しは聞いていたら!折角読んでるんだから。感想でも言ってみて!」

「うん」とは言ったものの上の空、私はそんなことより野球のテレビの方が気になっていた。

ママは上記の本の中から面白かった話、感銘を受けた文章などを拾い出して真剣に声を出し、強弱をつけながら年をとった人達にどうしたら判りやすく受け入れてもらえるか・・・と話し方にも工夫を凝らしていた。



そんな思いを浮かべながら整理することも無く・・・私は階段を下りた。

             T.A



[PR]
by sazae322te | 2006-10-04 15:15 | 思い出

芸術劇場





いつも明るい顔つきの千住真理子だが、バイオリンを直に首筋に当てて、真剣な表情で弦を奏でる。

小雨振る昼下がりの芸術劇場・・・満席の会場の聴衆は固唾を飲んで聴き入った。小林研一郎指揮、日フィルの「チャイコスキーのバイオリン協奏曲ニ長調」

陰影に包まれたこの曲だがチャイコスキー独特の哀愁を帯びた甘美なメロディは聴く人に美しさも、悲しさも、切なさも感じさせる偉大な名曲だ。

約4年半前の2002年3月7日同じこの芸術劇場でママと聴いた最後のチャイコスキーが頭の中を過ぎる。あの日は春浅く冷たい木枯らしがこの池袋の街にも吹き付けていた。終焉はこのとき、まさに告げられようとしていたのか?



36歳の短い生涯でこんなに沢山の名曲を残したモーツアルト!3人のモーツアルトが同時に存在したのかと思うほどあらゆる分野にかけて数多く作曲されている。

活気にあふれた明るく、楽しい曲が多いが、中には数少ない短調の曲も存在する。40番のト短調の交響曲も3大交響曲の一つだ。

今日、小林研一郎自らの演奏のピアノ協奏曲第23番は長調でありながら、ちょっぴり静寂を感じさせる、豊かな旋律の中にモーツアルトの円熟期を感じさせる名曲。特に第二楽章のアダージョの部分は目を閉じて落ち着きを取り戻す絶好の旋律だ。ト短調の交響曲と共にモーツアルトが心の神化を求めた曲だろう。



外はもの憂く秋の雨が降り続く中で、フィナーレのマーラーの第3交響曲の第6楽章が小林研一郎のタクトによって演じられた。正直に言って私はこの曲を聴くのは初めてだったが、2番の「復活」の次の曲で大曲が2曲続く感じ。天国への希求を描いたマーラーの全精力がみなぎる曲にタクトを振り上げる小林研一郎の額から汗がほとばしって止まらない。



冒頭のウオルフ・フェラーリの歌劇「聖母の宝石」間奏曲については・・・小林研一郎曰く「小学校3年の時このメロディを聴いて泪が止まらなかった」・・・という。また「私の音楽人生のきっかけの思い出の曲」という。



「心の癒しの究極は音楽である」・・・と結んでコンサートを終えた。
d0093704_2152278.jpg

     
          T.A


[PR]
by sazae322te | 2006-10-02 21:52